2024/06/11 20:35
当店のオーバーホールについてご紹介いたします😊
今回はライカⅢfセルフタイマー付きのカメラを例にご紹介いたします。まず当店に到着次第、初期状態を撮影し、外観チェックから入ります。
グッタペルカ(貼革)、各部品の欠品状況、擦れや凹み、シリアルナンバーの確認等々…
こちらのカメラではグッタペルカが割れているので貼り替えが必要になりますね~。
あとは初期状態にて機能確認を致します。
大体以下のようなチェックリストに沿って作業を致しますが、
このリスト以上に細かくチェック致します。
外観チェックと機能確認が終わったらいよいよ分解です。
分解はどこまでやるかというとほぼ全て分解します😊
このように分解することで清掃がやりやすくなり、一点一点見れるのでちゃんと汚れを落とせます♪
この汚れ落としが大事で、怠ると注油しても動きが渋くなります。
毎回ここまでバラしているのでこの状態で整備依頼が来ても
部品さえそろっていれば組み立てられますのでお気軽にお問い合わせくださいませ😊
分解を終えたら各部品を清掃・注油していきます。
これに関しては順番はございませんが、清掃・注油したら直ぐに組み込めるように
ダイキャストフレーム⇒シャッターレリーズ関連⇒フレーム底部関連⇒シャッター幕関連
のような順で作業を進めていきます。
ダイキャストフレーム


レリーズ関連

フレーム底部関連


シャッター幕関連

汚れは隅まで爪楊枝を使って落とします。

ギヤ摺動部は摩擦をなくすためバフがけしていきます。

シャッター機構部の組み立てです。

ここにシャッター幕を張り合わせます。
本来、シャッター幕の先幕はゴム面が表、後幕はゴム面が裏ですが、ゴム面が紫外線に当たるように組まれていると劣化が早いので両幕ともゴム面を裏にしております。


ここでシャッターが組み立てられるのでシャッタスピード調整を行います。
巻き上げノブのインジケーター窓もここで交換します。

巻き上げ軸も清掃・注油し組み立てます。
フロントカバーも清掃グリスアップします。
スローガバナーはむやみに分解すると少なからず傷がついてしまいます。
スローガバナーは特に精密機器なので少しの傷やささくれで不具合が生じますので、動作確認をして不具合のあるものを対象に清掃・注油していきます。
動作確認がOKなら組み込んで、次はファインダー関連を作業していきます。ファインダー関連はハーフミラー、ファインダー、プリズムを作業していきます。
今回は二重像に問題がなかったのでハーフミラーの交換はしませんでした。
あと、画像撮り忘れたので他の機種のファインダー分解画像です💦
遮光板も剥げがあり金属部が露出していたのでタッチペンで反射防止です。


スピードダイヤル、ARレバー、巻き上げ軸を組み立てシャッタースピードを調整します。
シャッタースピード調整は1/500、1/1000とスローの調整を重点的に行います。
トップカバーを取り付けた後も調整は致します。
意外とトップカバーを付けた後に干渉箇所があったりするのでここは特に気を遣います。
トップカバーを付けたらフラッシュを確認します。
今回はどこかで電気回路が繋がっておりフラッシュを接点に差し込もうとするとフラッシュが作動してしまってました。
なのでサーキットテスターを使って原因を突き止めます。

文字のカスレも気になるので墨入れしていきます。
ボディカバーはグッタペルカの剥がれが大きいので本牛革に貼り換えます。
下地処理が大事なのでグッタペルカをちゃんと剥がし、接着剤もシンナー系の洗浄液を使い落していきます。
本体とボディカバーを組付け、セルフタイマーを付ければ完成です!
フランジバックも確認しておきます。(28.8㎜が適正)
全体的に機能確認をしてお客様のもとに届いていきます😊
ここまで長文お読みいただきありがとうございました!
オーバーホールのご依頼お待ちしておりますm(__)m
坂口